①開始日時 : 2020年7月18日(土)9:15~11:45(8:45受付開始)

②会  場 : 龍谷大学 大宮キャンパス 黌(とうこう)

③講師ならびに内容紹介(敬称略)※定員 各コース50名

ワークショップA

講師:山中 康裕 (京都メンタルヘルス研究所 / 京都大学名誉教授)
『少年期の心』の赤頭巾庭子事例

今回のワークショップでは、自分で言うのも烏滸がましいが、名著の誉れ高い『少年期の心』の、赤頭巾庭子事例を、すべてのスライドを用いて皆さんにお見せすることにした。それは、本書の中国語訳が、2018年度中国教育・心理部門でのベスト100冊のうちの、なんと第2位になったという事で、上海や澳門などで事例自身を見せてほしいと請われ、出したところ思いもよらぬ大好評だったからである。そもそもあの本はまだ事例と関わって10年しか経っていない頃で、箱庭の写真を一切出さず、すべて言語化するという方法論だったのだが、40年近く経った今では、寧ろ見て頂いた方がはっきりすると考え、そうすることにした。是非ご期待願いたい。

ワークショップB

講師:安島智子(このはな児童学研究所)
発達障害児との遊戯療法の実際

遊戯療法では遊ぶことを通して心の問題が解決してゆくと考えますが、ビギナーズラックの場合は別として問題解決を自覚したセラピストの関わりが必要とされます。
遊戯療法の中では、遊ぶことができなかったクライエントが遊ぶことができるようになり、クライエント自身が心の問題を解決してゆくことができるようになってゆきます。この過程をいかに支援してゆくのか。細やかな瞬時のアセスメントと関わり方の工夫について、さらに箱庭制作や描画・粘土制作で表現された世界の意味や身体遊び、ゲーム盤遊び等種々遊んでいる世界の意味を理解することがいかに重要であるのか、自験例をもとに考えあいたいと思います。

ワークショップC

講師:伊藤良子(帝塚山学院大学大学院)
「発達障害」再考:発達の多様性について考える

「発達障害」と診断される子どもが増えています。こうした子どもの中には「障害」に対する訓練等の場への参加を嫌がる者も少なくありません。しかし、遊戯療法の場には喜んでやって来ます。彼らは、遊びにおいて自らに必要な課題と向き合い、そこに子どもの多様なあり方が表現されます。こうした子ども達の表現を理解し、適切に見立てることの重要性は、強調してもし過ぎることはないでしょう。

本ワークショップでは、「広汎性発達障害」と診断された子どもの遊戯療法過程を提示頂き、「発達障害」の再考に向けて検討したいと思っております。
※事例提供:古久保奈那(天理大学)

ワークショップD

講師:弘中正美(山王教育研究所)
プレイセラピーにおけるアグレッションについて

プレイセラピーにおいて、子どもがアグレッシブな表現(怒りや攻撃)を行うことはきわめてよく生じる現象であり、それは遊びにおける子どもの体験の質とセラピストとの関係性の質を深めることに寄与する場合が少なくありません。しかし、アグレッシブな表現はセラピストにとって決して受け止めやすいものではないので、不幸にして治療を混乱へと導く危険性も内在させています。このワークショップでは、プレイセラピーにおける子どものアグレッションの表出が抱える二面性に焦点を当て、治療的な流れを作り出すためにセラピストは何を考えるべきかについて、事例に基づいて検討したいと思います。
※事例提供:山本 良(東北福祉大学)

ワークショップE

講師:森岡正芳(立命館大学)
臨床ナラティヴアプローチ入門

このワークショップは、臨床ナラティヴアプローチの基本的な考え方と方法について、具体的な事例資料をもとに検討し、実習を交えながら身につけることが目的である。個人の体験世界に即して、現場で生きた体験を掘り起す視点としてナラティヴ(物語・語り)が注目されている。ナラティヴは、出来事を受け入れ意味づける心の働きを基盤とする言葉の活動である。臨床ナラティヴアプローチは、病や障害、心理発達的な困難に対して、個人の生活の文脈と切り離さずにとらえ、社会・文化の持つ潜在的治癒力を活かす支援方法であり、また障害や病を抱えつつ生きる当事者の現実を記述し、他者と共有できる形にする実践に即した研究法である。ナラティヴの観点をよすがに、遊戯療法の基盤を探ることに役立てればと思う。
※参考文献 森岡正芳編『臨床ナラティヴアプローチ』ミネルヴァ書房

ワークショップF

講師:森谷寛之(京都文教大学名誉教授/京都コラージュ療法研究所)
遊びの要素を取り入れる心理療法 -「九分割統合絵画法」の紹介-

「遊戯療法」は,言葉による「自由連想」ができない子どもの精神分析のために,「遊び」を利用するという発想で開発された。箱庭療法は「砂“遊び”療法」である。筆者が1987年に「コラージュ療法」を,「コラージュ(切り貼り“遊び”)」と紹介した。両者とも「ミニチュア」や「絵や文字の切り貼り」を通して自由連想を実践する。本WSでは筆者が1983年にマンダラからヒントを得て着想した「九分割統合絵画法」を紹介したい。絵を描くのが苦手な人のために,画面を3×3に小さく区切る。教示は「何でも思いついたもの(連想)を自由に次々に絵や文字,記号を描いて下さい」。9つに限定された自由連想法である。いろいろな課題,「自分,家族,いじめ体験,大学生活,卒業論文,今後の人生」などを指定でき応用範囲が広い。

ワークショップG

講師:國吉知子(神戸女学院大学)
親子相互交流療法(PCIT)を親面接に活用する!

親子相互交流療法(PCIT: Parent Child Interaction Therapy)とは暴力やかんしゃくなど問題行動のある幼児とその養育者を対象とする親子同室プレイセラピーで、別室のセラピストが親に有効なスキルをライブコーチする米国発祥のアクティブな心理療法です。ASD児にも効果が高く、親の虐待の再発率を2割にまで抑える効果もあります(Chaffin, et al., 2004)。PCITで親が子どもへの受容・見まもりや適切な制限の仕方を学ぶことで親子関係は改善し、子どもの情緒も安定します。PCITスキルは子育てのミニマムエッセンスで理解しやすく、親面接のブラッシュアップにも大変役立ちます。本講座では、PCITの基本構造や有効なスキル、さらにプレイセラピストがPCITを導入する際のポイントについて詳しく解説します。

ワークショップH

講師:難波  愛(神戸学院大学)
体験から学ぶ遊戯療法の基礎-プレイルームでの立ち居振る舞いと応答-

遊戯療法とカウンセリングの一番の違いは、時々刻々と変化する子どもとの距離や対面角度をモニターしながら「今ここ」の関係性を捉える、身体感覚にあると思われます。セラピストは身体感覚に敏感になり、自らをセラピーの道具として使えるカラダに整えておく必要があるでしょう。今回は、セラピストとしての身体感覚にフォーカスしつつ、実際に動いたりロールプレイしたりしながら、プレイルームでの具体的な立ち居振る舞いや応答について学んでいきたいと思います。

2019年10月2日

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