ご挨拶

日本遊戯療法学会 第26回大会 大会長  森田 喜治



 

 2020年日本遊戯療法学会第26回大会を龍谷大学で7月18日 (土) 、19日 (日) の2日間、開催させていただくことになりました。

 今回のテーマは「心理療法としての『遊ぶこと』」としました。昨今、遊戯療法が療法というよりも、大学においての初心者の経験のために用いられているきらいがあり、遊戯療法という重みを感じないことがあります。遊戯療法は遊びを用いた心理療法であり、言語という媒介ではなく遊びという非言語的行動を用いて子どもが表現しようとしている心の真実に迫る方法であると理解できます。遊びについては古来ギリシア時代の哲学をはじめ、文化人類学、教育学、発達学、社会学あるいは美学など様々の分野で取り上げられ、それらを形作る基本としてその意味が述べられています。また、感動という心を動かすあらゆるものがこの遊びの世界から発しているもので、文化は遊びから形作られているともいわれるほどにその役割は多岐にわたり重要なものであるだけではなく、人間の基本的なものであるということもできます。

 この「遊び」を物やテクニックとしてではなく、その行動の中にある意味を理解し、「遊ぶこと」として、その中に人間の心の世界を含み表現する媒介であるのと同時にその非現実空間の中で展開される子どもの現実の心の表現であり、遊びそのものの持つ心の場として心理療法に用いられていると理解できます。ワークショップではこの遊びのもつ特殊性を様々な観点から紐解き、心理療法として遊ぶことの意味を探索していきます。また公開講演会では青少年の心理療法を専門とされている岩宮恵子先生にお願いし、現代青少年にとってのアニメ、ネット、SNSという遊びから青少年の心の世界における遊びの位置づけ、意味についてお話しいただき、遊ぶことがただ子どものみに意味があるのではなく、この体験が単なるノスタルジーではなく、将来まで延々と息づいていることを先生の豊かな心理臨床体験から語っていただく予定にしております。

 また、公開シンポジウムでは小松和彦先生に妖怪学の立場から話題提供をいただき、日本文化の特性と遊びとの関係から遊びの世界と妖怪という日本文化の超自然的現象あるいは自然現象の人格化による心の世界との触れあいについて、指定討論の妙木浩之先生 川戸圓先生のディスカッションの中で妖怪の現象と遊びの現象との中に含まれた日本独特の心の表現を模索してみたいと思います。特に遊戯療法と妖怪学がどのようにつながっていくかはひとつの挑戦的な試みとなるかもしれません。妖怪学というと心理療法の世界とは関係のない世界であるように思われますが、妖怪という日本文化の心の真実がその基底にあり、それはまた「遊ぶこと」の世界とそれを基本にした子どもの遊戯療法に表現されている心の世界をつながっていくことで、遊戯療法においての遊ぶことの重要さと、心理療法の意味を模索していきたいと思います。ここ京都は、いわば遊戯療法のメッカであるとともに、学生の街、京都であり、また妖怪の聖地ともいわれており、青少年と遊びとのつながりや妖怪と遊びという日本人の心の世界をつなぎ理解するのに最も適した場であるといえるかもしれません。

 龍谷大学は昨年創立380周年を迎え、大学としては日本では最も古い大学であります。特に大宮学舎はその創世期の頃の雰囲気を漂わせており、大宮の校舎は重要文化財に指定されております。さらに学会の開催時期は、宵山の前祭と後祭の間にあたり学会の前後で祭りに出かけられるのもよいのではないかと思います。また、この祇園祭はテーマとなっている遊ぶことや今回のシンポジウムのテーマでもある妖怪とも深いつながりがあり、今回のテーマにふさわしい場所、時期になったものと思われます。

 参加される皆さんにご注意いただきたいこととしまして、祇園祭の影響で諸外国から訪れる観光客が大変多く、加えて東京オリンピックとも重なり、宿泊料金が高いという問題や、宿泊先の予約が取れなくなるといった危険性があります。早めの予約、また、大阪や滋賀での宿泊もご検討されるようお願い申し上げます。

 準備委員一同、皆様のお越しをお待ちしております。

 

龍谷大学大宮キャンパス

投稿日:2019年10月2日 更新日:

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